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学ランと心中

ホモをご飯にかけて食べると美味い。

エスケープジャーニー/おげれつたなか 感想

BL漫画

  こんばんは、日曜日に一歩も外に出ず積み上がったAmazonの箱からBL本を取りだして消化していたごくごく一般的なOLです。

 泣けるBLと評判の「エスケープジャーニー」をやっと読むことが出来たので感想を書きます。

 

エスケープジャーニー (ビーボーイコミックスデラックス)

エスケープジャーニー (ビーボーイコミックスデラックス)

  • 作者: おげれつたなか
  • 出版社/メーカー: リブレ出版
  • 発売日: 2015/10/10
  • メディア: コミック
 

 【内容紹介】

 何度離れてもまた君を好きになる。

「性欲処理」呼ばわりされて別れた元カレ太一と、大学でまさかの再会を果たした直人!
ガッツリ過去の怒りを引きずっていた直人だったけど、高校時代に比べ成長した太一に少しずつ心を許し始める…。
そんな中、友達のふみちゃんが太一に恋しているらしく…?
友達だと相性バツグンなのに“恋愛"になった途端うまくいかない、傷だらけの恋愛譚!

Amazonより引用)

 

 

 

※以下ネタバレ有り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Twitterやネットのレビューなんかで泣ける泣ける言われてたのであらかじめ心構えをした上でこの本を開いたのですが、まあ普通に自分も泣きました。

 

 まず直人(受け)。表紙の眼鏡の方。友達が多くてみんなとワイワイするのが大好きな底抜けに明るいいわゆるパーリィーピープル略してパリピ。ゆえにチャラチャラしたところがある典型的なウェイ系大学生って感じですが、実際直人ほど恋人でない異性の距離が近い男って大学にもあんまりいなかったよな。直人は普段はチャラいけど太一と一緒にいるとちょいちょい乙女顔になっちゃうのが素晴らしかった。多分これエスケープジャーニー読んだ人の9割が同じところで悶えたと思うんですけど水族館で太一がこっそり直人の手を繋ぐ場面からの直人が太一の家に行きたいと言い出すシーン、「っか~~~~~!!!!!!たまんね~~~~~!!!!!!!!」ってなりませんでした?わたしはなりました。このパリピ可愛すぎるでしょ。

 

 そして太一(攻め)。表紙のほっぺをプニられてる方。同じく大学生だけど直人と対極的なのか直人のコミュ力が高過ぎて並んでいるとそう見えるだけなのか太一はめちゃくちゃ大人しい。人見知りイケメン。おとなびて見えるけど顔くしゃくしゃにして笑ったときは幼い犬っぽくて超絶可愛い。コミュ障に目をつぶればなかなかの好青年ですがもともと理系だったのに直人を追いかけて同じ大学に入って文転までするし、おげれつさんも設定集で仰っているように愛が重いというか読んでいると直人に執着し過ぎているきらいがありますね。

 

 物語は高校生の頃付き合っていたけど喧嘩別れしたこの二人が大学で再会し、直人が太一との関係について考えながらくっついたり離れたりして答えを見つけていく、というのが主軸で、ふたりを表す『名前』が大きなキーになっていました。

 太一に片想いしているふみちゃんが太一との結婚後(子どもの名前とか、太一はいいお父さんになりそうとか)を妄想していた話を聞かされたとき、直人は「男と女(太一とふみちゃん)なら恋人になって結婚して子どもが出来て家族になれるけど、男と男(太一と自分)はどんなに頑張っても恋人がゴールでその先がない」ことに不安になる。男女間の恋愛には交際後もif世界が広がっているけど、男と男の間には「もしも結婚したら~」とか「もしも子どもが生まれたら~」という仮定が存在しない。直人は太一と『友達』と『恋人』の先である『家族』になりたかった。直人と直人の家族の仲が良好なのは作中からうかがえますし、家庭内が上手くいっていない太一を見て無意識に自分の家のような『家族』を作りたかったのかもしれない。

 対する太一は先述したとおり、家族が不仲でギクシャクしていました。父は仕事が多忙で家庭を顧みず母は不倫。そして太一が高校生のときに離婚。きっとこのときから太一は「女性と結婚して子どもを作って賑やかであたたかい理想の家族と暮らす」人生ではなく、「今まで支えになってくれていた直人と一緒に生きる」ことを望んでいた。

 「関係に名前がなきゃ一緒にいちゃ駄目なのか。家族って名前がついたところで何にもならないよ、俺はそう思ってる」という台詞は、一応『家族』という名前が付いていたものの、両親の気持ちがバラバラで一般的な『家族』とは言い難かったところに身を置いていた太一が言うからこそ重みがあります。関係を名前で縛ったところで本質的には意味がないし何にもならない。

 正直最初は直人に対して盛りまくる太一のことを性欲オバケかよとつっこんでいたのですが、太一は自分の父親が母親のことを構ってあげなかったから母親が別の男に盗られてしまったと考えていて、単なる快楽や嫉妬だけじゃなくて直人を繋ぎとめておくためにセックスをしていたのかな。自分と直人が父親と母親みたいにならないように。太一の愛が重く見えるのはこのせいなのかな。

 

 

  あとふみちゃんに彼氏が出来て良かった。ミカりんもだけどふみちゃんスゲー良い子だったな。最近の商業BLは性格が良くてゲイに理解のある女子の当て馬キャラがよく出てくる気がする。ふみちゃん彼氏ゲット報告のときにちゃっかり直人が薬指に指輪はめてたのも良かった。あのあとサイズが合う指輪を買い直しに行ったのかな?~~っか~~たまんね~~~~~!!!

 

 おげれつたなかさんは「恋とはバカであることだ」で初めて読んで画力の高い作家さんだな~という印象だったのですが、エスケープジャーニーを読んでただ絵が綺麗なだけじゃなくて魅せ方や表情のつけ方がものすごく上手なんだなと思いました。水族館のシーンにしても、自転車に乗って逃避行するシーンにしても、直人が唇をぎゅっと噛んで泣きそうになるシーンにしても今にも彼らが動き出しそうにリアルで一度見ただけでずっと印象に残る。彼らの呼吸が聞こえてきそうな躍動感あふれる濡れ場は言わずもがな。余談ですが最後の描き下ろしのおもらし漫画が自分の性癖ド真ん中で「感動して泣けば良いのか興奮すれば良いのか分かんねえよ!!!!!!!!」とマジギレしました。

おげれつ先生、最高の愛の逃避行と最高のおもらしをありがとうございました。