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学ランと心中

ホモをご飯にかけて食べると美味い。

それから、君を考える/小松 感想

BL漫画

 こんばんは。今日は控えめに言ってもクソがつくほど暑かったので涼しげな表紙のBLを読みました。

 

それから、君を考える (Canna Comics)

それから、君を考える (Canna Comics)

 

 【内容紹介】

高3の夏。
幼馴染みの同級生。
口にできない想い。

「心の底から、大好きでした」

娯楽も何もない退屈な田舎町。
そんな町で幼い頃から共に過ごしてきたタカシとヤスは、
高校生になった今でも一番の親友同士。
しかし、ヤスはタカシに
友達以上の感情を抱いていた。
想いを口にできないまま
季節は受験シーズンへ突入し、
そこでタカシから東京の大学に受験することを
打ち明けられる……。                       Amazonより引用)
 
 

 
 
 小松さんの「それから、君を考える」、わたしは商業BLの出版事情には全く詳しくないんですがデビュー作且つ発売即重版って相当凄いことなのでは!?しかも4刷目って!買ってよかったな~と思った本が売れているのはめちゃくちゃ嬉しい。
 
 この本は4つのお話からなる短編集です。CPはオール高校生×高校生。男子高校生愛好家を自称する自分としてはこの時点で 既にAmazonの評価★5億個なんですけど、表紙の絵から抱くイメージの通りどの作品も美しくて切なくて素晴らしかった。
 
 
 
 
 
(※以下ネタバレ有)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
●それから、君を考える
 表題作。田舎から出るために東京の大学を受験する高校生と、地元に残って実家を継ぐ高校生の話。受験をきっかけにして片方は上京して片方は残ることを決め、ふたりは離ればなれになってしまう。王道な流れですけど、親の姿を見て俺の人生ってこのままでいいのかな?って思って東京行きを決めるタカシの気持ちや、好きだから本当はどこにも行ってほしくないけど誰よりも近くでタカシのことを応援したいヤスの気持ちが痛いほど伝わってきて悲しい気分になってしまった。タイトルの意味がわかるラストと、巻末の2ページは良い意味で反則です。
 
 
●最後の命令
 命じる高校生と従う高校生の話。4つの話の中ではいちばん短いです。酷薄そうな視線が好きで自発的に周防くんに従っていた佐野は、命令に色事が絡むようになってから彼の視線にさみしさを感じるようになって、大人になってもその視線がずっと忘れられない。あのときに命令に逆らっていれば何か違ったのかもしれませんが、結局何もできなくて、想いを引きずっているような佐野の姿がつらかった。この倒錯した愛情は、近代文学に出てくる同性愛のかたちに近いなと思いました。
 
 
●Young oh! oh!
 美少女フィギュア趣味のあるイケメン高校生と強面な高校生の話。4作品の中で唯一コメディ色の強いラブストーリーでした。フランス料理のフルコースの中に突如現れたあんこたっぷりのおはぎ!驚いたけど食べると素朴で甘くて美味しい!!そんな感じ。
 美少女フィギュア趣味のせいで初彼女にフラれたトラウマから女の子との恋愛がうまくできなくなってしまったイケメンが、ひょんなことから強面男子と付き合うことになり…という流れだったけど、強面男子が心優しきピュアボーイ120%だったので始終にやにやしながら読めた。三白眼の見るからに怖そうな男が好きな子とどうやってナチュラルに手を繋ごうか真剣に考えてる、このギャップが嫌いな腐女子なんてこの世の中にいるのか?いや、いない。
 
 
 ●夜明け前が一番暗い
 家庭に問題を抱えている高校生の要と彼を救いたい高校生大輔の話。自分はこの話が一番お気に入りです。家族の仲をとりもつためにイイコちゃんを演じてきた要が家出して大輔のところに来て、でも嫌なことから逃げたところで何にもならなくて、世の中にはどうしようもないことがあることを知る。一番暗くなる夜明け前とは、大人になる一歩前、すなわち彼らの『今』を指しているんですね。でもその人生で最もつらい今の時期が一番成長できるという大輔の言葉に要はずっと支えられてきたし、理不尽なことを少しずつ受け入れて前へ進もうとする要の姿を見て大輔も救われる。そんなふたりの関係があたたかくて心地よかった。一作目の「それから、君を考える」に続いて、このタイトルもセンスが良くて好き。
 
 
 方向は違えど、個人的にこの本は 『うまくいかない』10代の男の子たちの脆くて壊れやすい気持ちを丁寧に描いた本だと思いました。一方通行の想いや特殊な趣味で恋がうまくいかなかったり、将来のことや親の不倫から家族とうまくいかなかったり。それらのことから抗ったり逃避しながらも次第に大人へと近づいていく高校生たちのストーリーをなんだか短編映画でも観ているような気分で読み終えました。人物の魅せ方とか、心にグッとくる台詞とか、余韻の残し方とか、「これがデビュー作?こやつめ、ぬかしおる」と思わず疑ってしまうほどハイレベルな作家さんだと思うので、欲を言えば次は一冊まるごと同じCPの話あるいはもっと長いお話も読んでみたいです。