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学ランと心中

ホモをご飯にかけて食べると美味い。

B.S.S.M./井戸ぎほう 感想

BL漫画

 こんばんは~。数時間前まで花火大会に行って花火よりも男子高校生らしき若人たちの浴衣姿を凝視していた20代の愛され系ゆるふわOLです。先日拝読した商業BLの感想を書きます。

 

B.S.S.M. (EDGE COMIX)

B.S.S.M. (EDGE COMIX)

 

 【内容紹介】

「お前と同じで 俺もラリってんの」


そんなのが 恋だなんて 思ってもみなかったーーーー

ちょっぴりやんちゃでアブナイことが大好きな、けいま。
口数少なく、大人っぽく、いつも何を考えているのかわからない、なお。
同じクラスの二人は友達同士…のハズなのに、
なぜか◯◯◯をこすり合ったり、なめ合ったりする間柄。
ある日、けいまの"友達"と二人で会った後に、
なおから「お前なんか一人ぼっちになればいい」と告げらたのは…?  (Amazonより引用)
 
 
 
 
※以下ネタバレ有
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ぎほうさんは夜はともだち (POE BACKS Babyコミックス)の世界観にめちゃくちゃくちゃくちゃハマって、

 

B.S.S.M.もすごく楽しみにしてました!個人的には今回も大アタリです。特賞ハワイの旅4泊5日ペアチケットって感じだ。
 B.S.S.M.は一冊まるごと「けいま」と「なお」の話です。
 まずけいま。彼は良く言えば天真爛漫、悪く言えば自由奔放な不思議ちゃんです。可愛い顔して興味本位でクスリもやっちゃうし、疑うことを知らなくて怪しい界隈の人とも交流をもつ。怖いものしらずで見ているこっちがヒヤヒヤします。紹介文には「ちょっぴりやんちゃでアブナイことが大好きな、けいま。」とありますが、読んだ後に見返すと”ちょっぴり”って何だっけ…?と首を傾げてしまう。いいか、ちょっぴりって分量や程度がわずかであるさまのことだぞ。世間一般で言う『ちょっぴりやんちゃな少年』はせいぜいピンポンダッシュ程度の悪事を働く男の子のことであり、ヤクに手を出す男の子のことじゃないんだぞ。まあそれくらいブッとんでるところがあるんですけど、愛嬌があって憎めないんだなこれが。
 そしてなお。彼は表情が乏しい少年です。けいまとなおは友達なんですけど、なおはけいまのことが恋愛的な意味で好きです。普段はぶすっとつまらなそうにしてるんですけど、けいまのことを想って泣いたときの顔とか、ふと笑みをこぼしたときの顔とか、すごく可愛くて良いです。一見芯が強そうに見えて意外と脆いところも良い。一見クールそうに見えて意外とマニアックでえっちな夢を見ているところも良い。THE男子高校生って感じで最高だ。
 
 
 
 作品の中でけいまが布団をかぶってなおのことを考えてるうちになおの恋心に気付いて泣くシーンが一番お気に入りで既に何度も読み返してます。今まで恋は顔をぴかぴかにさせるもの!楽しいもの!!と思っていたのに、相手のことを想ってさみしい気持ちになったり切なくなったり死にそうな顔になってしまう恋があることを知った瞬間のけいまの顔が本当に何とも言えない。単に恋愛経験がなくて幼いという訳ではなくて、友達が多くてみんなから愛されているけいまはきっと今までこんな気持ちになったことがなかったんでしょう。何をしでかすか分からない浮世離れしたところもあるけど、なおの恋の相手が自分だと知ったとき「俺 全然知らなくて わからなくてごめんな」って素直になおに謝るけいまは優しくて愛しい。なおの気持ちを悟る前、けいまは友人に「レンアイって一緒に生きたい相手に気持ちを尽くすことなんだから」と話していますが、どんなに相手に尽くしたくても尽くせないレンアイがあることを、布団の中で思案しているうちに気付いたのかな。
 ここを起点にして、旅先ではけいまの成長ぶりがうかがえます。こたつの中で起きてるなおに「寝た?」って聞いてたけいまが、バスの中で眠そうななおを差し置いて先に寝てしまったけいまが、旅行ではなおのことをよく観るようになってなおが寝てないことに気付いてる。今まで気付けなかったぶん、今度は気持ちの変化を見逃さないように、なおが傷つけてしまわないように、なおの顔をよく観る。旅先の布団で眠るときのシーンのモノローグを「見る」じゃなくて「観る」にしているのは観察の意味をふまえてかな?なおの変化を注意深く観察して、気遣う。そうするうちに自分もなおが好きだと思う一連の流れが自然でグッときました。
 
 
 けいまとなお、読者が感情移入しやすいのは断然なおの方だと思うんですけど、わたしは件のけいまが布団かぶって泣くシーンでのなおの「いつの間にか俺、お前のことが好きで、友達とかじゃないやつで、でも俺だけがそういう気持ちだってのは、ちゃんとわかってたよ」という台詞で本当につらくなってしまった。こんなにそばにいるのに寂しい。なおは作中でよく泣いていますが、声を上げて泣くでもなく顔をクシャクシャにして泣くでもなくただポロポロと涙を流す様子から彼のはかり知れない不安が伝わってきます。けいまは根っからの自由人で、約束だってまた破られるかもしれない。けいまを自分の力で幸せに出来る自信がないし、いつか置いていかれるかもしれないけど、自分はそういうけいまが好き。そんな葛藤があの涙にぎゅっと詰まってる気がする。
 
 
 ぎほうさんの作品って、IQ2の自分の頭で解読するには難しい部分があって、キャラクターの心情をカスカスの脳で唸りながら考えたりするのもひとつの楽しみだったりするんですけど、今回は特に難解だった。明確な答えは出ないけど前作の夜はともだちも今作もミステリー小説みたいだなと思いました。あるいは哲学。男同士の恋愛は哲学。何度読み返したって分からなかったのは脇役激ヤバ界隈のやまちょー先輩と日車さんだけど、あとがきの作者の言葉を借りれば彼らは『けいまとなおにスルーされる大人』という役割を果たしていたのかな。スルーされるにはキャラが濃すぎるけど。けいまがヤク中になったり小指なくなったりしなくて本当に良かった。恋の話で良かった。
 手放しで「お前ら幸せになって良かったな~~~!ご祝儀はずむから結婚式には呼んでくれよな~~~~~!!!!」と喜べるラストだったかと言うとそうではなく、くっついた後もどこかしんみりとしている雰囲気が独特の余韻となって不思議な読後感がある話だった。