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学ランと心中

ホモをご飯にかけて食べると美味い。

寄越す犬、めくる夜(1)/のばらあいこ 感想

今までアホみたいな記事ばかり投稿してきたので今日は真面目に商業BLのレビューを書きます。久々に色んな意味でとんでもねえBLに出会ってしまいました。

 

寄越す犬、めくる夜 1 (Feelコミックス オンブルー)

寄越す犬、めくる夜 1 (Feelコミックス オンブルー)

  • 作者: のばらあいこ
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2015/01/24
  • メディア: コミック
 

 【紹介文】

舞台はヤクザ経営のカジノ。
バイトの新谷はチンピラのディーラー・菊池がやっていた
横領に巻き込まれ、制裁を受けることになってしまう。
制裁を命じるのは会長の〝オンナ〟・須藤。
命令は「ビデオカメラの前で菊池を犯せ」。
唐突な命令に硬直する新谷だったが、
須藤にモノを咥えられ、
泣きじゃくる菊池を犯すよう導かれーーー。

闇社会に躍るドロドロ三角関係、開幕!       Amazon」より引用 

 

 

 

(以下ネタバレ有です)

 

 

 

 

 

 

 

893ものって商業BLでは割とメジャーなジャンルですが、ここまでどう転んでもバッドエンド感が漂うヤクザBLも珍しい。まだ一巻なのに早くも深い沼に落っこちて光も見えなければ救いも見つからない状態。

帯のアオリ文は『極めて、凶悪な W受。』 そして裏帯は『タチが悪くて、手に余る、2つのカラダ――。』

いいですね~大好きですこういう「この沼は深くて暗いよ ただの3Pじゃないよ」ってことが何となく察せられる親切なアオリ。

BLはほのぼのハッピーエンドじゃないと嫌だ!という方や、CP固定派腐女子、手を繋いだだけで顔を真っ赤にしちゃうようなソフトな純情ホモプレイを好む方にはオススメできません。「最近物足りねえな、なんかこうもっと脳髄にガツンとくるようなホモが読みてえ」という腐女子にこそ読んで頂きたい。

 

内容紹介にもあるように主な登場人物は、

新谷と同じカジノで働いていて、横領やらかしたクズチンピラで金髪ワンコの菊池(受)

可愛い顔してド変態、ヤクザの会長の〝オンナ〟(BLなので性別はもちろん男)の須藤(受)

ヤクザカジノのバーでアルバイトをする新谷(攻)

の3人です。攻ひとりに受がふたりです。棒が乾く暇がありません。

 

 

まずクズチンピラ略してクズチンの菊池(受)ですが、彼は金髪、刺青アリ、見るからにチャラチャラしている19歳の男です。見た目がヤンキーっぽいだけならまだ可愛いけど、信頼している先輩のためにヤクザカジノの金をチョロまかします。そしてその先輩にもアッサリ裏切られて捨てられる。

そこで新谷に優しくされて惚れちゃうんですけど、盗んだ金の返済のためにサディストの気がある男に体を売って徐々に精神が不安定になっていきます。前科はあるけど犬みたいに可愛いところもあるし環境に恵まれなかっただけで根は悪い奴ではないのかも…?というのが一巻の印象。ここから新谷がいかに菊池の精神安定剤として作用してくれるかで菊池の運命は決まると思う。もう手遅れでないことを祈りたい。

菊池は普段は口が悪いのに情事では「こんなッ やさしいの らめなんれすっ…♡」と舌足らずな声を出しながら絶頂を迎えるギャップが良いですね。ダ行をラ行に言い換えるのは古き良き喘ぎ文化の手法ですからね。世の中の男性たちももっと菊池を見習って「痛くないれす…っ♡」とか「きもちいいれすっ…♡」とか言って欲しい…と思ったけどやっぱり言わなくていいです全国の野郎共がらめらめ言ってる姿を想像したら狂気の沙汰だった。

 

 

 

次に会長のオンナである須藤(受)。

彼は新谷とカラオケデートをしたがったり、かと思えば会長が見ている前で新谷と性行為をおっ始めたり、イマイチつかみどころのない男です。

新谷が菊池のことを「金髪の犬」と例えているのに対して、須藤のことは「足先の丸い化け猫」と例えているのは読者と同じく新谷自身も須藤のことがまだよく理解出来ていないからでしょうね。本当は愛らしい子猫ちゃんなのかもしれないし、恐ろしい人喰い猫なのかもしれないし、ジバニャンなのかもしれない。咥えてるのはチョコボーじゃなくて肉棒だけど。

会長の愛人やペットではなく、須藤が自分のことを会長の〝オンナ〟と言ったのは、会長に亡き妻の代わりか何かをさせられているからなのかな…。

謎な部分が多い須藤ですが、「俺、新谷くんのことずっと好きだったから」という言葉に偽りはないと思います。相当闇に満ちたアングラ人生を歩んできたからこそ、他愛のない世間話を交わせて、且つ今までヤクザとは無関係で平凡に暮らしていた新谷に対して憧憬にも似た想いがあったんじゃないかな。

 

 

 

そして唯一の攻めである新谷。

お人好しな性格のせいで同僚の菊池がやらかした横領に巻き込まれて、須藤から制裁というか性裁を受けるはめになってしまいます。

これがただの善良で優しい妹思いの男だったら「何も悪いことしてないのに気の毒…」と同情もしたんですけど、新谷も割と歪んでるんですよね性癖が。そう、彼は可哀想な奴に勃つんです。

BL界には『不憫受け』という言葉があるくらいですし性欲に直結することはなくても可哀想な子に魅かれる気持ちは腐女子の私にも分かる。ただ可哀想な子を好きになる理由って色々ありますよね。新谷の場合それが単純な性癖なのか、「自分が守ってあげなきゃ」という庇護欲からくるものなのか、自分よりも下にいる人間を近くで見ることで得られる優越感からくるものなのか、可哀想な境遇の人間を救おうとすることで己の存在価値を見出しているのか、はたまた別の理由なのかが気になります。

暴走族や少年院で強姦された過去を持ちヤクザに盗みがバレた上に信頼していた人にも裏切られて金を返すために男に体を売る「カワイソウ」な菊池と、ヤクザの会長のオンナになり完全に頭のネジが外れてしまった「カワイソウ」な須藤。最終的に新谷はどちらを選ぶのか、どちらも選ぶのか、もしくはどちらも選ぶことが出来なくなるのか。

 

 

濃すぎる登場人物達はもちろんパンスト破きプレイや受けが見ている前で攻めともうひとりの受けが交わる視姦3Pも衝撃的だったんですけど、一番印象に残ってるのは

『人のものを盗んだら 罰が待ってる』

という台詞。

これは菊池が須藤(ヤクザ)から金を盗んだことだけを指しているのではなくて、ある意味新谷が会長から須藤を盗んだことや、須藤が菊池から新谷を盗んだことも含まれているのかもしれない。それぞれに罪を犯して堕ちていく彼らに今後どんな罰が待ち受けているのか続きを見るのが怖いようであり、楽しみでもあります。